では体を温めるためには、たくさんある食品の中で、常に陽性食品だけを選ばなければならないのでしょうか。
陽性食品を積極的に採るということと、「旬」のものを選ぶということには、実は矛盾がある場合があります。
現代人の冷えは、季節を問わない現象となっていますが、食物の旬は、ときによっては陰性食品の場合もあるからです。
それに、大好きな食べ物、いろいろな食べ物を食べたいですよね。
いくら陽性食品で体に良いと言われたからといって、ずっとパン食で過ごしてきた人が急に玄米ご飯にかえても、胃が重くて辛いばかりです。
陰性食品は、調理や食べ方の工夫によって、冷やす作用を和らげたり、陽性にかえることができます。
実は、漢方薬や薬膳でも、すべて陽性食品を使っているわけではなく、調理方法によって「陽性に換える」という考え方が一般的です。
ですから、好きな食べ物をあきらめなくても大丈夫なのです。
<1>加熱する
陰性食品は加熱することによって、陽性に換えることができます。
夏野菜、特にナス科の野菜は強く体を冷やす作用があるのですが、旬の時には豊富に取れるため値段も安く、ビタミン豊富でおいしいですよね。
これらは、生で食べると特に体を冷やすのですが、火を通して食べれば、陰性の効果は弱くなります。特にトマトは、ビタミン豊富で煮込み料理の味付けとしても欠かせない存在です。キュウリやレタスも、炒めて食べる料理もたくさんあります。
例えば…
トマトソース
味噌炒め、味噌田楽
スープ
<2>天日に干す
干し野菜や果物がちょっとしたブームです。
陰性食品も、太陽の力を十分に浴びせることで、陽性に換えることができます。
ですからドライ○○といっても、天日に浴びせたかどうかが重要なポイントです。
たくあんや切干しダイコンは、昔から伝わる素材ですね。
自宅でも、簡単に作ることができます。日なたに野菜をおいておくだけ。甘みが増し、栄養分も凝縮されます。
例えば…
漬物
ドライフルーツ
干物
<3>塩を加える
陽性食品の代表である「塩」は、特に強い温める効果を持っているため、陰性食品に塩を加えるだけで、陽性に換えることができます。寒い地方で、漬物文化が発達していることは、ただ単に寒い時期の保存食というだけではなく、体を温めるということが分かっていたにからなのでしょう。また、夏場に利尿作用の大きいスイカを食べる時に、塩を振ることがあります。トマトジュースに塩が加えてあるのも、甘みを増すという理由以上に、体温の低下を防ぐという目的があるのです。
また、しょうゆや味噌などのように、塩を使った調味料も、同様に体を温めるのには欠かせません。日本食というのは、体を温めるために優れているのです。
例えば…
漬物
塩味のスープ
ドレッシングの調味
<4>香辛料と組み合わせる
塩と同じく、陽性の香辛料と組み合わせてもOK。
香辛料の中には、陰性のものもあるので注意しなければなりませんが、ほとんどの香辛料は、色が濃く、食べている最中から体の中が暑くなってきます。
実は、唐辛子は陰性食品なのですが、加熱する・天日に干すということと組み合わせると、十分陽性の効果を発揮します。マーボー豆腐やキムチが体に良いといわれるのは、様々な効能が組み合わさっているから。
コーヒーも、体を冷やす代表的な飲み物ですが、シナモンや黒砂糖を加えることによって冷やす効果が抑えられます。コーヒーの陰性作用は、血圧を下げるたり、抑がん効果にもあげられるように、理にかなったものですが、リラックス効果という意味で、陰性体質の私にも欠かせない飲み物です。
陰性食品=冷やすと排除するだけでなく、上手に体に取り入れるように工夫しましょう。
例えば…
マーボー豆腐
キムチ鍋
しょうが、シナモンを使う